死後事務委任契約をしたことを、家族や親族に知られたくない…という人もいるかもしれません。
死後事務委任契約は相続人に内緒に出来るのか?
この記事ではそんな疑問にお答えします。
そもそも死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、自分が死んだ後の事務を第三者に依頼するための契約です。
死んだ後の事務とは、例えば入院していた病院への未払い費用の支払い、介護施設の未払い費用の支払い、電気や水道、ガスといった生活に必要だったものの解約、賃貸物件の整理と引渡しなどなど、多岐にわたります。
亡くなった直後の事で言うと、遺体の引取や葬儀の手配も死後事務に含まれるとされています。
親族がこのような手続きを全てやってくれる人もいると思います。
そういった人には、死後事務委任契約は不要かもしれません。
しかし、親族がいないいわゆる「おひとり様」や、親族がいても仲が悪いとか事情があって頼りたくない場合、親族も高齢の為に頼ることができない場合、みんな遠方なので手続きのために来てもらうのは忍びないという場合、死後の手続きの負担を軽減させたい場合など、死後事務をどうしようかという悩みを抱えている人は少なくありません。
死後事務委任契約をすることで、あらかじめ自分が選んだ人に死後の煩わしい手続きを任せておくことが出来るので、安心して生活することが出来ます。
会話でわかる!死後事務委任契約のきほん死後事務委任契約を結ぶことは親族に言わなければいけない?
死後事務委任契約は法律的には準委任契約というものになります。死後事務委任契約の当事者にあたるのは、委任者(死後事務を頼む人)と受任者(死後事務を頼まれる人)の二人です。この二人が契約をすることに納得していれば、契約は成立します。極端に言うと、口約束でも成立したことになります。
しかし、口約束だけで色々な手続きを行うのは現実的ではありませんので、実際はほぼ100%書面で契約書を交わすことになります。
では、この契約を親族以外と結ぶ場合、それを親族に言っておかなくてはならないのでしょうか。
先ほど述べたように、死後事務委任契約は当事者の二人の合意で成立するものなので、それ以外の家族であったり親戚であったりの意見は関係ありません。知らなかったとしても、例え知った上で反対されたとしても契約は成立します。
契約をすること自体、伝える義務はないのですから、内容については言わずもがなです。内容を当事者以外の関係者に伝えておかなくてはいけないとか、許可をとらなくてはいけないという決まりは有りません。
ただし、法定相続人が全く関係ないかというと、そういう訳でもないのです。
それをこれから説明します。
相続人と死後事務委任契約の関係
死後事務委任契約は、委任者が亡くなった時に初めて効力を発揮します。
実は、委任者が亡くなると、その委任者の地位は法定相続人に承継される(引き継がれる)のです。
法定相続人とは、法律で決められた相続をする権利のある人のことを言います。
そのため、受任者は死後事務が全て完了した後に経過や結果を相続人に報告する義務を負います。
また、死後事務委任契約の執行の為の費用は、委任者が残した財産の中から支払うこととなります。相続人がいる場合、相続財産を使って死後事務を行う訳ですから、死後事務でお金を使えば使うほど自分の取り分が減ると考えて反発する人もいるかもしれません。
さらに、死後事務が全て完了し、費用や報酬を清算した後に残った財産については原則的に法定相続人に引き渡すこととなります。(ただし、委任者が遺言を書いており、遺言執行者が指定されている場合は遺言執行者に引き渡します。)
このように、死後事務委任契約を結んでいて第三者が死後事務を粛々と執行するとしても、相続人と全く関与せずに終わらせることは出来ません。
契約の成立可否だけで言えば法定相続人に一切言わずに契約をしても問題ありませんが、内緒にしておくことで執行する段階になってトラブルが発生する可能性がある、ということを知っておきましょう。
トラブル回避のためには…
折角契約をしても、いざ死後事務を行う段階になってトラブルが発生してしまうのは誰もが避けたいと思うはずです。
出来れば、契約をする段階で相続人に死後事務委任契約を結ぶことと、その内容を知らせておくことが望ましいでしょう。
しかし、相続人と関わりたくないからこそ、知らせたくないからこそ死後事務委任契約を結ぶのだ!という人もいますよね。
繰り返しになりますが、契約自体は委任者と受任者の二人が合意すれば成立します。相続人に事前に伝えることで逆にトラブルになることもありますし、委任者が死後事務委任契約を結ぶ理由も考慮し、可能な範囲でトラブルを未然に防ぐ措置をとることが大事だと思われます。絶対に死後事務委任契約発効前に相続人を関わらせなければならない訳ではありません。
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私は難しい言葉で説明をされても分からないし、制度のことも法律のことも良く分からないんだけど・・・
なるべく簡単な言葉で、分かりやすいようにご説明するのでご安心ください。
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